何有荘アートギャラリー

現代美術を中心とした隠れ家ギャラリーです。

2023年5月の企画展示のご案内

遠くに玄界灘の波の音、側の逆水池ではキラキラと陽光を浴びてかいつぶりが潜ったり、ひょんな所に顔を出したりして遊んでいる。

 庭には椿、山茱萸、桜、季節はずれのクリスマスローズなど次々に花の盛りが巡り、山鳩やメジロなどが枝を飛び回り遊んでいる。
 静かな生活である。

 皆様お変わりありませんか?
 ようやくコロナから解放され、さまざまなイベント、作品展などの情報、案内が届き、芸術、文化などの活動が復活の兆しを見せています。正直、嬉しい。
 長い引きこもりの後、時代の趨勢には抗い難く、後期高齢者の仲間入りを機に、ウェブ上で画廊展開すべく、遅ればせながら、ネット社会に参入することに致しました。不慣れ、不得意分野ではありますが、これまで以上に、どうぞ宜しくご指導、ご鞭撻の程お願い申し上げます。
 平常は常設展、企画展示。
 画廊喫茶は金・土・月曜日の11:   00〜17:00営業します。
 貸し画廊、貸スペースはこれまでどうり承ります。ご遠慮なくお問い合わせ下さい。
お近くにお越しの折は是非お立ち寄り下さい。

5月の企画展示

『今や、芸術にとって問題は生き残ることである』
ナイジェル・ロルフ

 1992年10月4日、画廊エル・スールで、ナイジェル・ロルフ(アイルランドの美術家)『PRIVATE PICTURES』展でのオープニングパフォーマンスが忘れられない。
 あいにく雨が降っていた。
 毎日新聞社ビル玄関口より地下の画廊入り口まで「今や 芸術にとって問題は 生き残ることである」と力強く揮毫された半幅の条幅が階段を伝い通路をぬって敷き詰められている。書は筒井三重子さんによる。
 和紙の余白に塩が撒かれ、ところどころに白い菊の花が添えられている。その上を縄で結えられた魚(鯖)がナイジェルの手でゆっくりと荘厳に書の上を引かれていく。
 いつのまにか夜の帳がおりて夕闇がひたひたと迫る中、沈黙と静寂が辺りを包み、やがて和紙に、参加者の手で火が点けられ、燃える炎の中で、確かに、「存在と時間」そして生命の痕跡が浮かび上がり、記憶された……。
 この時、既にナイジェル・ロルフは世界の崩壊と殺戮の世紀の始まりを予見していたのだろう。
 21世紀の初頭に立つ現在、世界は目まぐるしく変化している。IT技術、情報産業中心の経済システムは流通革命、グローバル化を標榜し相も変わらずマスメディアは物質的快楽と刺激のシャワーを無責任に撒き散らし、バーチャルリアリティの中でしか自己を投影出来ない人間の鬼子を作り、欲望を商品化、数値化して、人間そのものを経済的利益の対象として再生産、産業化してゆく。
 一方では、自然科学が神の領域とされる分野までをも手を広げ、見えない世界で、自然の形態を破壊し、造り変えようとしている。
 気が付けば、がんじがらめに生活を絡め取られ、自己の存在の希薄化、現実からの離脱、身体と直結した感覚の喪失など、孤立し、疎外され精神を病み、行き場を失った人間の凶悪な犯罪が後を絶たない。
 既に今世紀、芸術は意味も形態をも失い、人間が生きてゆく為の、生き残ってゆかねばならない地平から何も生み出しえないでいる。
 人間が人間としてあり続ける為に、今、私達は何をなさねばならないのか、目を逸らす事なく、さらに問い続けて行かねばならない。まだ絶望したくない。未来の私たちの子孫の為にも。
 ナイジェル・ロルフは今も、アイルランドの故国で、メッセージ性の高い素晴らしいパフォーマンスを展開していると人づてに聞いた。
 健闘を祈るばかりである。
     2015.618 K. Makino
古い記事ですが、あえて取り上げました。2023年、何も変わらず寧ろ、もっと酷い時代を生きている気がします。
『時代の表象』展
 2023.5.5ー29
展示作家 
A・タピエス 一原有徳 阿部 守
草野貴世 松川英俊 土田恵子 他

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